鹿浜菜の花中学校

校長日記

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2020年6月10日(水)
ある男子高校生の話 その2

ある男子生徒の話の続きです。

(学校再開後の登校初日、筆記用具を忘れてしまったという生徒に、どう対応すべきか…。詳しくは前日の日記をお読みください。)

さて、このご時世です。感染防止のため、おそらく私物の貸し借りをさせてはいけない、というルールがあったのでしょう。しかし「貸し借りはいけない」というルールは決まっていたが、忘れてしまった生徒がいたときの対応については決まっていなかった、のかもしれません。だから先生もどう対応すべきか、戸惑いを感じたのかもしれません。

一方で筆記用具を貸した男子生徒には「感染防止」という考えはありませんでした。瞬間的に「先生もシャープペンぐらい貸してあげればいいのに」と思ったそうです。

忘れてしまった生徒にしてみれば、緊張する初めての登校日に、筆記用具を忘れてしまって恥ずかしいという思いがあったことでしょう。「忘れてしまいました」と申告することは、とても勇気がいることだったのではないでしょうか。
それでも勇気を振り絞って声を上げると、すぐには貸してもらえず、先生たちがアタフタとし始めた。恐らく「すぐに貸してもらえる」と思ったからこそ、声を上げたはずです。わずか数秒が、とてつもなく長い時間に感じたのではないか…。私にはそんな気がしてなりません。

「(忘れた生徒は)『感染者であるように扱われた』と感じたのではないか」と、その男子生徒は、とっさに爽感じたそうです。(続く)