中学校では保健の授業で「健康と環境」について学ぶことがあります。人間の身体は環境に対する適応能力をもっている、という内容です。例えば暑いときに汗をかく。これは汗をかくことで、その汗が蒸発する際に皮膚表面の熱を奪って蒸発していく(気化熱)ことにより、体温の上昇を防ぐ、というもの。他にも、トップアスリートが「高地トレーニング」を行うのは、こうした適応能力をうまく利用して持久力を高めようとするからです。
もちろんこれは身体にそもそも備わっている機能といえますので、意識をしなくても、身体が自然とその環境に適応していくものです。しかし私はこれが「心」にも備わっている、と思っています。
さて、昨日の続きです。高校受験をする際に「自分に合った高校」を選び、受験をするように進めることがあります。しかし「全て」自分に合った高校を見つけることは困難です。
その最たる理由は都立入試の正式名称を知るとよくわかります。
都立入試は正確に言うと
「東京都立高等学校入学者選抜」
その名の通り、高校側が入学者を選抜するのが都立入試なのです。選択(選抜)するのは高校側。そもそも中学生は選抜される側なのです。もちろんその高校に合格したとしたら、その高校に合格できるだけの力をつけて「合格」を勝ち取ったのはあなた自身ですから、その頑張りは否定されるものではありません。高校側はそのあなたの「頑張り」を評価し入学者として選抜したのですから自信を持って結構です。
ただしその高校に入学したあと、あなたがどのような活躍を見せるかは、あなた自身がもっている「適応能力」にかかっています。高校は、あなたのライフスタイルや価値観に全てを合わせてくれはしないからです。その高校のライフスタイルにあなたが合わせていくことが「高校生活」なのです。
ここで発揮されるのがあなたの「心の適応能力」。この力は誰にでもあります。そして高地トレーニングのように鍛えることもできます。
「自分に合った」にとらわれすぎず「自分には合わせる力がある」と信じてみましょう。進路の選択肢が大きく増えるかもしれません。
そうはいっても、やはり受験はストレスですね。悩んだらいつでも先生方に相談してください。校長室でももちろんOK。先日は3年生が受験の相談に来てくれました。きっと一人で校長室に入るのは勇気がいったでしょう。扉は開いていますから、またいつでも来てください。お待ちしています。
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