対岸の火事

（昨日の内容から続く）
阪神淡路大震災が発生した1995年1月17日早朝。

地震のニュースが気になりながらも「遠い場所での出来事」という感覚のまま出勤した私。職員室に到着すると、当時主流であったブラウン管テレビの前に数人の先生が集まり、ニュース映像を見ていました。いつもとは違う職員室の光景に、私もその輪の中に入り映像をみて驚きました。夜が明けて明るくなった関西地方の様子がヘリコプターからの上空映像で映し出されている。市内のあちこちから火の手が上がっている様子は、まるで特撮映画のようでした。「市内ではたくさんの火災が発生している模様です。怪我人も大勢出ているという情報が入っています。」というアナウンスとともに映し出される映像を見て「ただ事ではない」と思いつつも、まだこの時には「対岸の火事」としか思えていなかったように記憶しています。

「対岸の火事」としか思えなかった。それには理由がありました。
私は翌日、1995年1月18日から5日間、学校を休み入院する予定だったのです。
私は骨髄バンクにドナー登録をしていました。適合者がいることがわかってから、約半年にわたる準備期間を終え1月20日に骨髄を提供する手術をうけるために入院をすることになっていたのです。

その前日に阪神淡路大震災は発生しました。

この日の私は、自分の骨髄提供手術のことで頭がいっぱいで、それ以外のことは「対岸の火事」としか思えなかったのでした。
（明日へ続く）

1995年1月17日、午前5時46分。阪神淡路大震災が発生しました。

昨日がその1月17日。いくつかの報道番組でこのことを取り扱っていましたが、決して多くのメディアが扱ったとは言えない気がしました。もう26年前のことです。20才代以下の方々はもちろん、30才代の方々の記憶にもあまり鮮明には残っていない出来事かもしれません。

私の記憶もあいまいで、この日は週明けの月曜日だと思っていました。しかし改めて調べてみると、この日は火曜日だったことがわかりました。当時は成人の日が1月15日と定められていました。それが日曜日であったため、翌16日の月曜日は振替休日だったようです。「休み明けの日に、出勤しようと朝起きてテレビをつけると『関西地方で大きな地震があった模様です。詳しいことはまだわかっていません』というコメントが繰り返されていた」と記憶していた私。これは半分正しく、でも正確には休み明けの月曜日ではなく火曜日であった、ということになります。

発生時刻はまだ日の出前。確か当時の私は午前6時頃に目を覚まし、すぐにテレビを見るといった生活習慣でしたから、このときにはまだ情報が精査されていない。現地映像も日の出前の暗闇を映し出しているだけで、詳しいことは本当に何もわかっていない。「地震といってもきっと震度4か5くらいなのだろう」くらいにしか思えなかったことだけは、はっきりと覚えています。

しかしこれは大きな間違いであることが、時間が経つにつれて、はっきりとしてきました。

先週お伝えしましたとおり、今週は阪神淡路大震災と私の経験についてお話しさせていただきます。
（明日に続く）