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施設内からバスへの移動が許されたのは、地震発生から約5時間後の午後8時ごろでした。
全員の点呼が完了し、無事を確認することができました。本当にほっとしました。
動き始めるバス。「やっと帰れる!」と喜ぶ生徒たち。しかし、相変わらず携帯電話はなかなかつながりません。何度も電話をして、運よくつながった時に生徒全員の無事を学校に伝えることができました。
市街地の道路は大渋滞でした。普段なら1時間弱で学校に戻ることができる道のりも、この日は4時間を要しました。
歩きながら帰宅するのであろう多くの人たちが、歩くよりも遅いくらいのスピードで走るバスを追い越していきました。
しばらく進むと道路のあちこちに水たまりができていることに気がつきました。それも普通の水たまりではない水量。「施設内はたいした雨ではなかったけれど、この辺りは雷雨のような激しい雨だっただろうか」と思っていました。
これも後になって知ったのですが、これが「液状化現象」というものでした。その水たまりは雨のせいではなく、地面から湧いて出てきたものだと知った時には、「地震の被害は家屋の倒壊だけではないのだ」と改めてその怖さを実感しました。
夜12時。学校到着。体育館にはすべての生徒の保護者が駆けつけてくれていました。本当に全員の保護者です。感謝の気持ちで涙が出そうになりました。
しかし私はこの時、まだ東北地方を襲った「津波」のことを知りませんでした。
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